フランスから台湾経由で日本に帰るために、私はパリのシャルル•ド•ゴール空港のチェックインカウンターにいた。
Where will you be flying to today?
To Osaka, Japan.
私の答えで女性の顔が一気に曇る。私に少し待つように伝えて他の職員と話している。戻ってきた職員によると、大阪行きの飛行機はどの航空会社でも全てキャンセルされているらしい。
とりあえず台湾に飛んで向こうでどうするかカウンターで話してくれと言われ、チェックインを手短に済ませた。スマホでニュースを見ると、大きな台風で関空の連絡橋が壊れているらしい。日本のニュースを見られていなかったので、気分はすっかり浦島太郎だ。
なんてタイミングの悪い時に…考えても仕方がないのでそのまま台北に飛んだ。台北の桃園国際空港では色々な国から台湾経由で帰るはずだった人達が長時間のフライトで疲れた顔をしてカウンターに並んでいる。
カウンターで担当の人と話すと、関空行きは復旧の目処が立たないので、東京成田か福岡に飛んでそこから帰ってくれと言われる。少し悩んだが、国内線の移動を考えると東京の方が選択肢が多いと思い成田行きで帰ることにした。
その日は飛行機が取れなかったので、台北で一泊することにする。次のフライトは翌日夜で時間がかなりあるので、空港でSIMカードを買い台北市内に向かう。ホテルもバスの中で適当に探して予約した。
東京に住む昔海外でルームシェアをしていた友人に連絡する。彼女は夜遅くに東京に着く予定の私を家に泊めてくれるという。東京からは新幹線で帰ることに決めた。
色々なことに目処がついた。こういうトラブルが起きた時に対処するのは得意な気がする。とにかく疲れていたので早く休みたい。ローカル向けのお店で炒飯をテイクアウトしてホテルに帰る。
炒飯はかなり量が多く、私の一日分くらいの量だ。これくらいの量にスープがついて250円とか300円くらいだった気がする。台湾は高級店以外は軒並み外食が安い。なので自炊する人は少ないそうだ。
次の日友人への手土産を買うために街をぶらぶらした。ヨーロッパの街並みは息を呑むほど美しいけれど、台湾みたいなアジアの街並みも好きだ。花のようにそれぞれの良さがある。
夜のフライトで東京に飛んだ。荷物は重たいので成田空港から家まで宅急便で送ってしまった。東京はバケツをひっくり返したような大雨だ。仕事帰りの友人と駅で待ち合わせる。向こうから歩いてきた友人を見て自然と笑みがこぼれる。
友人と話すのが楽しくて、電車の中でつい話してしまう。東京の電車は人があまり話さないのでいつも気を遣う。
ベッドの中でもずっと笑いながら深夜遅くまで話していた気がする。当時友人が付き合っていた彼氏の話や思い出話で盛り上がった。
次の日の朝に新幹線で家に帰った。色々あったけど、大好きな友人に会えたからまぁいいかって思えた。
いらない写真を消していたら写真フォルダに懐かしいものを見つけたので、記憶がまだ脳内にカラーであるうちに書き残しました。
写真はフランスのノルマンディー地方のジヴェルニーにあるモネの庭です。
水の庭園（Le jardin d'eau）
